クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
 いつもなら、似合わないからって諦めるのに。可愛いと思っても自分ではけっして選ばない。こんなものを私に贈ってくれる人もいなかった。

 似合わないのは百も承知だけど、つけてみたい、……諦めたくない。

「これをつけるの、今すぐは無理だけど、でも、ちょっとお洒落とか頑張ってみるから。だから、もう少し似合うようになってからでもいい?」

 わざわざ幹弥に尋ねることでもない。私自身の問題で、また余計なことを言って、からかわれるかも。でも、彼はそんな真似はしてこなかった。

「いいよ。優姫の好きなタイミングで。ただ、つけたら是非とも見せていただきたいね」

「わ、わかった」

 わざとらしく仰々しい口調で言う彼に、ぎこちなく返事する。すると幹弥はかすかに笑った。その表情にいつになく胸をときめかせる。

 私、変わりたい。一度は諦めたことだったけれど、やっぱり自分の気持ちを大事にしたい。すぐには無理でも、少しずつでいいから。変われるかな?

 こんなふうに、また決意させてもらえるなんて。きっとひとりじゃ無理だった。

「ありがとう、幹弥」

 彼は、返事をする代わりに、まるで猫にでもするかのように私の頭に優しく手を置く。きっと幹弥は、このペンダントのお礼だと思ったに違いない。でも、このときのお礼には私にとって、たくさんのものが詰め込まれていた。

 ただ、このとき結局ペンダントのことで頭がいっぱいになった私は、どうして彼が私に口づけしてきたのか、ちゃんと理由を聞けずじまいにいた。
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