クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
 それから私は、少しずつ化粧やファッションに力を入れるようになった。雑誌を見て研究したり、真紀からアドバイスをもらったり。

 劇的に変わるのは難しくて、ほんの少しずつだけれど、以前は機能性だけを重視していた私のクローゼットにフェミニン系の服が増えていく。簡単なヘアアレンジもいくつか覚えた。

「なに、ついにユウにも好きなやつでもできたわけ?」

「違う」

「無理してもいいことないぞ? 化けの皮なんてすぐにはがれるんだから」

「あんたね」

 ゼミでは、私の微妙な変化に気づいた一馬にからかわれたりもしたけれど、不思議と以前ほど気にならなくなった。前は彼の一挙一動に振り回されている自分がいたのに。

 幹弥とは、変わらない関係で、やっぱり友達と呼ぶには違和感を呼びそうな限定的な付き合いを続けていた。

 毒舌で、私には優しくないと思うことが多々ある。けれど彼は目敏く、からかい混じりの口調の中で、さらっと私の髪や服について褒めてくれた。洞察力がすごいというか。


 そして、夏休み明けの後期開始日。私は思い切って幹弥のくれた猫のペンダントをつけることにした。ちょうど木曜日だし、昼休みにはゼミのグループワークについての打ち合わせがある。

 悩んだけれどスカートはやっぱりはけずに、その代わりギンガムチェックのパンツにトップスは甘めのレース遣いのオフホワイトのシャツだ。髪も緩く巻いてサイドにまとめあげる。

 家を出るとき、何度もナイトにコーディネートを見せたけれど、彼の反応は素っ気ない。姿見で確認しながら、私は最後にネックレスをつける。
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