求めよ、さらば与えられん
ダメ、ベアトリーチェ!!こんな所で泣いてる暇はないのよ!!ジッとしてる暇はないのよ!!!!


両手で思いっきり頬を叩いた。自分で叩いたくせに凄く痛い。頭も頬も、何処もかしこも痛い。けど、少し頭が冷えた。


はいつくばる様に幼いペガサスへ近づいた。もう少しで手が届くというところで、勢いよく手を払いのけられた。


何!?


見上げるとそこには大きなペガサスが……。轡(くつわ)をはめられたペガサスの翼は何かで固定されている。よく見ると血だらけで、床も血で濡れていた。


鋭い殺気に身が震える。それでも負けじと幼いペガサスに手を伸ばすが、大きなペガサスはふれることを許してはくれない。



「この子を、守ってるのね?」



このペガサスはこの子の親なのかもしれない。威嚇をやめないペガサスの顔を抱きしめた。振り払おうと暴れる。けど私は必死にしがみついた。



「お願いッ、この子を助けたいの! だから私に触らせてッ! 絶対に傷付けないから! あなたの大切な子を傷つけたりしないからッお願い__ッ!!」



ギュッとしがみついていると、ペガサスは動かなくなった。恐る恐る離れると、ペガサスの大きな瞳と視線が交わった。頬をペロッと舐められ、涙が溢れる。



「__ありがとう」






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