求めよ、さらば与えられん
横たわる幼いペガサスの胸に触れた。


_トクン、トクン……。


微かに感じる鼓動。体や羽に沢山の傷を負いながらも、この子は生きようと闘ってる。


両手で体に触れ、目を閉じ願った。この幼いペガサスが元気になります様に、と……。


暫くすると耳がヒクヒクと動き始めた。そして立ち上がると大きなペガサスに擦り寄った。心配そうに鳴きながら。それは母親に甘える様な仕草にも見えた。



「次はあなたの番」



一瞬頭がくらっとした。まだへばるには早い。まだ意識を飛ばすわけにはいかない。


ペガサスの翼を固定しているのは無数の糸だった。釣り糸みたいな透明な糸。どうしよう。何か切れるもの……ポケットにも馬車の中にもそんな物は見当たらない。


早くしないと……いつこの馬車が止まるとも限らないのに。



「これを使うでしゅ!!」



え?誰!?


慌てて辺りを見渡すも、私以外に人は居ない。


空耳?



「ここでしゅ!!」



何処!?



「上でしゅ!!」



見上げてキョロキョロしていると、何かがキラキラ動いているのに気付いた。よく見るとその檻の中には小人が数人入れられていた。





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