求めよ、さらば与えられん
◇◇◇◇◇



柔らかい。


ゆっくり瞼を開けると知らない女の子と目が合った。


メイドさん?



「せ、せ、先生呼んで参ります!!」



そういうとあっという間に部屋から出て行ってしまった。


こうしてフカフカなベッドの上にいるってことは、助かったって事だよね?ジーン王子が来てくれたのは夢じゃなかった。良かった。漸く心の底からホッとした。


身体を起こそうとしたけど、何処もかしこも痛すぎて諦めた。今はおとなしく横になっていよう。


白衣を着た先生が丁寧に状態を確認してくれた。どうやら私は熱にうなされ、3日間眠っていた様だ。途中薄っすらと意識が戻る事があったらしいけど、さっぱり覚えていない。殴られた頭の傷は大した傷じゃないらしいけど、今後吐き気とか眩暈などの、何かしらの症状があれば直ぐに診察を受ける事を義務付けられた。


先生と入れ替わる様にしてやってきたのはジーン王子だった。


お仕事中だったのか、テラスで会う時とは全然違ってきっちりかっちりした洋服を着ている。肩凝っちゃいそう。


ジーン王子は無言でツカツカと歩み寄ってきた。顔は真顔だ。怒ってるの?って思っちゃう様な雰囲気に身構えた。けど、そんな考えとは裏腹に、とても自然な動作で抱きしめられた。





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