求めよ、さらば与えられん
走ってきた勢いのまま扉を開けた。


部屋には国王陛下を始め、ジーン王子、騎士団総長たちそして……。



「ヘンリー……」

「……ビーチェ」



椅子から立ち上がったヘンリーに抱きついた。聞きたい事も言いたい文句も色々あった筈なのに、何も出てこない。


ただ泣き噦る私をギュッと抱きしめてくれた。懐かしいヘンリーの温もり。もう感じることはできないと思ってた。



「ごめんな、さいっ! 約束守れなくて! 勝手な事してごめ、なさ__」

「謝るのは俺の方だよ、ビーチェ」



ヘンリーの大きな手が頬を包み込む。おでことおでこがくっついた。全てが懐かしくてしょうがない。



「傷付けてしまってごめん。 今までよく頑張ったね」

「ヘ、ンリー__ッ!?」



突然抱きかかえられて一気に涙が引っ込んだ。



「ジーン王子!?」



もの凄く不機嫌そうな顔のジーン王子にお姫様抱っこされていた。


今更ながら恥ずかしくなった。この面子が揃ってるって事は私お邪魔しちゃったって事!?それで怒ってる?そんな事を考えていたら「ぶふっ」とアウロラに笑われた。


肩を震わせながら笑っているアウロラ。何で?





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