求めよ、さらば与えられん
ベッドに入ると、ジーン王子は椅子に座って手を握ってくれた。レミーは当たり前のようにジーン王子の肩に座ってる。その何気ない光景に幸せを感じる。



「目、冷やすか?」

「ううん、どうせまた泣くと思うからいい」



ジーン王子の手をギュッと握った。すると気持ちが伝わったのか、真剣な顔つきになる。



「何でも答えてやる」



そう言われると、何から聞いたらいいのか分からなくなる。



「……私のママの事、何で知ってるの?」



娘の私でさえ会ったことないのに……パパの話でしか知らないのに……。



「まだ弱くて自分の力では何も出来ない非力な頃、誘拐された事がある。 命からがら闇雲に逃げてた時、俺を助けてくれたのがアヴァ様_お前の母だった」

「どんな人だった?」

「…………」

「私のお母さん。 私知らないから……」



握っている手を親指でそっと撫でられた。男らしく、私よりも黒い手は凄く温かい。



「物心ついた頃から色んなものに警戒して生きてきた。 それなのに、アヴァ様に対しては少しも警戒心が働かなかった。 『大丈夫よ』って優しく笑ってくれたんだ。 あれほど心の底からホッとした事はなかった。 美しくお日様のような人だった」





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