求めよ、さらば与えられん
「だから知ってたの? 私がみんなとは違う力を持ってるって事……」



ジーン王子は眉を下げて無理矢理笑顔を見せた。


上半身を起こしてジーン王子と視線の高さを近付けた。



「知ってたのにどうして使おうとしなかったの? 脅してでも使わせてれば、あれほどみんな苦しまなくて済んだはずでしょ」

「いくら力を持っていようと、本人が望まなければそれは力とはならない」

「どういう意味?」

「アウロラが言っただろう? 『想いこそが糧となる』と……」



確かにそんな事を言っていたような気がする。



「皆力を持つものはわらわの様な従者を従えておる。 素質もあるが、従者がどれ程の力を持っているかによって大きく力の差がでる。 皆その存在に気付いておらぬゆえ、自分自身の力と思おておろうが、そうではない。 力を望む主人にわらわのような存在が力を貸しておるだけだ」

「じゃあ…私にも……?」



そんな存在がずっと居た?時折感じる何かは側に誰かがいてくれたから?悲しい時に包み込んでくれてたのも……?



「初めてお前の力を見たとき、初めて妖精を見た。 お前の周りには数え切れないほどの妖精が居た」

「妖精? 私の周りに?」

「妖精たちは照れ屋が多くてな、今もそなたの側におるが、姿を見せるのは恥ずかしいと見える。 今は妖精だけではない、わらわもおる。 此度はそなたが力を強く望んだゆえ、大きな力が働いた。 そなたは大地に愛され生まれた子。 ベアトリーチェに出会えた事だけはルーカスに感謝せねばなるまい」





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