求めよ、さらば与えられん
教会の中に戻ると、マデリンに勢いよく抱きつかれた。震えてる。微かに震えるマデリンの体を、私も優しく抱きしめた。



「何もされなかった!?」

「何もされなかったよ。 人違いって分かってもらえたみたい。 さ! 遅れてる分みんなの薬急いで作んなきゃ!」



マデリンと別れて急いで薬を作るのに没頭した。残された時間で出来るだけ多くの薬を作っておきたい。1人でも多くの人に薬が渡るように。


神父様もロッシ先生も何も聞いてこなかった。いつもと変わらず接してくれる。それがとても有難かった。


マデリンが作ってくれた夕食を食べ終え、また薬作りに没頭した。黙々と薬を作っていると、激しい音を立ててドアが開いた。息を切らしたヘンリーがズカズカと近付いてきた。



「敵軍がここへ来たと聞いた! 一体何をしに来た!?」

「バルドック国第二王女のベアトリーチェを訪ねて来たの。 だから言ってやったわ。 ここにはただのベアトリーチェしかいないって」

「それで奴らは!?」

「王家の身分を剥奪されたベアトリーチェには用はないそうよ。 だから安心して。 ね?」

「そう、か……それならいいんだ」



切羽詰まった顔のヘンリーを見ると父の最期の日を思い出す。


ヘンリーの背中に腕を回して胸に耳を当てた。激しく動く心臓、荒い呼吸。酷く心配させてしまった。


ヘンリーはいつだって私のことを一番に考えてくれる。それは嬉しいようで申し訳ない気持ちでもあった。





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