求めよ、さらば与えられん
みんなが寝静まり、音を立てない様そーっと部屋を後にした。


荷物は何一つない。持って行くのはこの身だけ。だって私に明日はないかもしれないから……。


厩に行くとヘンリーの愛馬のルディが居た。近づくとルディも体を寄せてきた。手を伸ばすと顔を突き出してきたので鼻筋を撫でた。ルディもいつも私と仲良くしてくれた。大切な友達だ。



「ヘンリーの事宜しくね」



ルディとお別れをして、起きている馬を一頭厩から連れ出した。背中に乗り、出発しようとした時、何かが肩に飛び乗ってきた。



「レミー!?」



もう面倒を見てあげられないから、お世話を神父様にお願いした筈だったのに……何でここに!?


捕まえようとしても飄々と逃げられてしまう。思わず大きなため息が出た。



「一緒に来ても守ってあげられないかもしれない。 危なくなったらちゃんと逃げるって約束できる?」



私の言葉が通じてるのかは分からないけど、レミーは肩に乗ると頬にすり寄ってきた。



「おいで」



手を差し伸べると、今度は大人しく手のひらに乗ってくれた。



「落ちたら危ないから、狭いけど暫くは我慢して入っててね」



レミーを胸元へ入れ、私は今度こそ馬を走らせた。





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