この空を羽ばたく鳥のように。



照姫さまの御座所から全員で退出したあと、優子さんに今までの経緯を聞いた。



私の脳裏に焼きついているのは、籠城当日の混乱のなか西のほうへ向かわれた 竹子さま達のお姿。

あのあとどこへ向かわれたのか訊ねると、優子さんは「板下(ばんげ)へ向かいました」とおっしゃった。



「あの時通りがかりましたる藩士に、照姫さまは板下にお立ち退きなされたとうかがいまして、わたくし達はそちらへ向かったのでございます」



板下を目指し、西出丸から西へ走る途中で依田姉妹と岡村すま子さまとも行き合い、皆で一緒に板下へ向かうことになった。


しかし板下に着いてみると、照姫さまはこちらにおられないという。誤報だったかと落胆しながらも、このあとどうすべきか悩んだ一行は、不安のまま法界寺で一泊させてもらうことにした。


次の日の二十四日、竹子さま一行は近郊にご家老の萱野権兵衛さまの軍が宿陣なされてることを聞き、そちらへ赴いた。





照姫さまがお城に居られると分かった以上、お城へ戻り照姫さまをお守りしたい。

しかしお城はすでに敵軍が囲んでいて、入城は困難。



ならば戦うことも辞さない気持ちで、竹子さま達は萱野さまに心情を訴え、お城へ向かう軍隊への従軍を望んだ。


しかし萱野さまは難色を示された。この戦いは男たちの戦い。行軍に女子を同行させるなどもってのほかだと。

拒まれても竹子さま達は引き下がらず「この願い叶わぬのならば、この場を借りて一同自害いたします」とまでおっしゃったらしい。
根負けした萱野さまは、幕臣•古谷佐久左衛門さま率いる衝鋒隊への従軍をお許しになった。


そして翌日二十五日。津川から引き返してきた会津軍と衝鋒隊とともに若松に向かった竹子さま一行は、夕刻 柳橋の手前で西軍と衝突した。
会津軍と衝鋒隊が戦うなか、男たちの制止も用を為さず、竹子さま達も薙刀を振るって戦闘に参加した。

暗闇が迫るといえど 西軍の兵士どもは男装した竹子さま達に気づいたようで、生け捕って慰みものにしようと群がってくる。しかし薙刀の名手の竹子さま達に近づくことができない。



竹子さまは先頭切って、無駄のない動きで敵を切り倒していった。けれどーーーー。



一発の銃弾が、竹子さまの額を撃ち抜いた。






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