ヤンキー社長の求愛
「…そんなことでいちいち呼び出さないで下さいよ」



そしてあたしがその言葉を付け加えてため息を吐くと、社長が言う。

またもや気にしていないような顔をして。



「いや、呼び出したのはそれだけじゃないよ。来月あたり、二人きりでハワイとかの南の島に行かない?」

「え、」

「りー子ちゃんと二人きりで海を満喫したいなぁって。で、そういえばりー子ちゃんてどんな水着着んのかなぁって思って、こうやって検索してたってわけ」



そう言って、「どう?行くでしょ?」と。

急にそんなふうに誘ってくる社長。

いやいや、確かに南の島は憧れますよ。けど急すぎやしませんか?しかも来月って!今月だってあともう10日もないよ!

あたしはそう思うと、社長に言った。



「…申し訳ありません、社長。そういうのはちょっと」

「え、海外だめ?じゃあ国内にする?沖縄って今気温どれくらいなのかな」

「…そういうことではなくてですね」

「…」



…万が一、その旅行を会社の誰かに目撃されたらマズイのよ。そもそもこうやって社長に好かれてることだって良く思われていないのに。

社長は気にならないのかな。

そう思いながらあたしが断っていると、その時またもや社長があたしの言葉を遮って、言った。

耳元で、囁くように。



「いいじゃん。行こうよ旅行。俺はりー子と行きたいな」

「!」

「社長命令。ね?決まり、」

「…っ、」



何故だろう。

言葉の内容はむちゃくちゃなはずなのに、耳元で囁かれるとつい頷きたくなってくる。

耳に社長の吐息がかかって、甘い空間にはいつも勝てないまま…。




【ヤンキー社長の求愛】




(ってかそういうのセクハラですよ)
(いいじゃん、どーせ俺達付き合ってるんだし)
(っ、ここでそれを言わないでくださいっ)
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