クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?
「歌や踊りか…意外だな。」

「そうですか?」

「あぁ…
でも、私もそういうものが好きだ。
数年前にやって来た吟遊詩人の歌は最高だった。」



(吟遊詩人って何?)



ぎんゆうの意味がわからない。
詩人なのに、歌を歌うのかな?
あ、自分の作った詩に曲を付けて歌うってこと?



「……君は、吟遊詩人は嫌いなのか?」

「いえ…記憶がないので……」

「あ……そうだったな。
すまなかった。
城に戻ったら、いつか一緒に詩人の歌を聴こう。」

「はい、楽しみです。」



とりあえず、わからないことはなんでも記憶がないで済ませてしまう。
申し訳ないけど、仕方ないよね。



(アルバートさん、ごめんなさい。)



「カンナ…旅行は好きか?」

「はい、好きです。」

「そうか、ファーリンドに戻ったら、いろいろなところを旅行しよう。
ファーリンドには、美しい場所がたくさんあるし、うまいものもたくさんある。
きっと、楽しめると思う。」

「……ありがとうございます。」



なんとなく違和感を感じた。
これから、殺人をしようとしている人が、こんなのんびりした話をするなんて…
まさか、殺人に慣れてる…ってわけではないだろうけど……

< 131 / 352 >

この作品をシェア

pagetop