クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国（パラダイス）～これってもしやシンデレラストーリー！？

「カンナ……」

アルバートさんは遠くをみつめながら、静かに私の名を呼んだ。



「はい。」

「……私がやろうとしていることをどう思う？」

「えっ…！？」



やろうとしてることって……あのことだよね。
そんなこと言われても、私、どう答えたら……
さすがに今回は、記憶がないでは誤魔化せないし。



「……何か、他の方法があれば良いとは思いますが……」

「私も、どれほど考えたかわからない。
なんとか出来ないか…しかし、どれほど考えても思いつかないのだ。
……私とて、彼らを殺めたくはない。」

そう話すアルバートさんの声は、とても苦しそうなもので……
私が考えているよりもずっと、アルバートさんが苦しんでいることがわかった。
もしかしたら、今でもまだ迷いがあるのかもしれない。
自分の使命みたいなものと、本心の狭間で今も揺れ動いているのかもしれない。



「アルバートさん…僕も考えます。
きっと、なにかあるはずです。」

「しかし、もう時間がない。」

「いえ…まだ時間はあるはずです。
そして、良い方法も…
最後の最後まで諦めずに考えましょう！」



妙に熱くなっていた。
何も良いアイディアなんて思いついてなかったけれど、少しでもアルバートさんの心を軽くしてあげたくて…



『諦めなけりゃ、未来は明るく輝くものさ。
未来を照らせるのは、君の気持ちさ～』



私は、立ち上がり、歌い踊っていた。
これは、先日の出し物の、ロバートの役の一節だ。