北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
凛乃が「なるほど」とうなずいたあたりで、佐佑が累に気づいた。累は庭に降りるなり、「物置からソファ出すから。手伝え」
「人使い荒いなー」
物置の扉にはめたダイヤル錠の数字を回し始めると、凛乃はそっとキッチンのほうに姿を消した。
「これ? 座椅子?」
「どう見ても二人掛けソファだけど」
「でも脚がない。こんなの持ってたっけ?」
「おまえが知ってるのなんて、高校までだろ」
「累は留学しちゃったからなー」
「それを言うなら、おまえの引っ越しのほうが先だ」
言い合いながら、ふたりで物置から抱え出した真っ赤なローソファを、縁側に運ぶ。庭に向けて仮置きしてみると、リビングと濡れ縁のあいだを、ほとんど占領している。
「とりあえず、ここでいい。あとで掃除する」
「人使い荒いなー」
物置の扉にはめたダイヤル錠の数字を回し始めると、凛乃はそっとキッチンのほうに姿を消した。
「これ? 座椅子?」
「どう見ても二人掛けソファだけど」
「でも脚がない。こんなの持ってたっけ?」
「おまえが知ってるのなんて、高校までだろ」
「累は留学しちゃったからなー」
「それを言うなら、おまえの引っ越しのほうが先だ」
言い合いながら、ふたりで物置から抱え出した真っ赤なローソファを、縁側に運ぶ。庭に向けて仮置きしてみると、リビングと濡れ縁のあいだを、ほとんど占領している。
「とりあえず、ここでいい。あとで掃除する」