北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「いつから来れますか?」
「へ?」
 油断しきった声が出てしまった。
 いま、なんて?
「いつって、採用、ってことですか?」
「はい」
「ムリです!」
「え」
 累はあとずさった凛乃の勢いに驚いて、首をすくめる。「ダメ?」
「ええ、希望の条件とちがいすぎるので」
「ばあちゃんじゃなかったから?」
「そうですね。住み込みで考えていたんで、ちょっと」
「住み込み?」
 いかにも初耳、という累の声に、笑顔で怒りを抑えた凛乃はてのひらを向けて相手を指した。
「チェック入れてらっしゃいましたよね? 通いか住み込みかの欄に」
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