北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「ご自分たちのことを言ってるみたいだなって思って」
「あ、そーだねー」
 佐佑がケラケラと笑い、累を指さしながら凛乃に告げ口する。
「でもこんなこと言ってるけど、累の猫のかわいがりかたって、デレっデレのねこっかわいがりなんだよ。四六時中ベッタリくっついてて、そうでなくても爪先とか指先とか、とにかく身体の一部だけでもつねに触ってて、ときどき、ぎゅむって抱いて、顔をこすりつけんの。そんでおれが猫を触ろうとすると、ヤキモチ妬く」
「へえー意外」
「あれがOKで、なんでおれだけ引っかかれるのか、ぜんぜんわからん」
 累はソファに肩を預けて、2杯目の麦茶に口をつけた。
「おまえは下心ありすぎなんだよ」
「仲良くなりたいだけじゃんか」
「それが暑苦しい」
「怒ってますねー」
 凛乃がまたころころ笑う。
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