北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
佐佑とコソコソ話すのも、言動の由来を佐佑にからめようとしているのも、気持ちがザラつく。
凛乃が笑いを噛み殺しながら、空のグラスをトレイに載せる手を止めた。
「あ、そうだ。話は変わりますけど、明日、夜の9時頃、出かけてもいいですか? バイトの面接が入ったので」
「おれはかまわないけど……そんな夜中に?」
「夜勤のテレオペなんです」
「夜も働くってこと?」
驚きをもって聞き返すと、凛乃はなんでもないことのように笑顔で答えた。
「一晩中じゃないですよ。20時から23時半までで、終電では帰ります。えっと、契約のときに、余暇のダブルワークはOKって……」
凛乃が探るように累を見あげる。
「忘れてた」
現実味のない仮定だと聞き流していた。凛乃が労働時間を増やすのも、夜中に出歩くのも、まるで想定していなかった。
凛乃が笑いを噛み殺しながら、空のグラスをトレイに載せる手を止めた。
「あ、そうだ。話は変わりますけど、明日、夜の9時頃、出かけてもいいですか? バイトの面接が入ったので」
「おれはかまわないけど……そんな夜中に?」
「夜勤のテレオペなんです」
「夜も働くってこと?」
驚きをもって聞き返すと、凛乃はなんでもないことのように笑顔で答えた。
「一晩中じゃないですよ。20時から23時半までで、終電では帰ります。えっと、契約のときに、余暇のダブルワークはOKって……」
凛乃が探るように累を見あげる。
「忘れてた」
現実味のない仮定だと聞き流していた。凛乃が労働時間を増やすのも、夜中に出歩くのも、まるで想定していなかった。