北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「夜中は累さんはお仕事中だから、わたしが家にいなくても問題ないし、一応取り決めでは、夜に片付けはしないことになってるし、時間を有効に使いたいので」
許可の返事が出せなかったのをどう取ったのか、凛乃が説得にかかる。
「もちろん、おうちの片付けはちゃんとします。手を抜いたりしません。信じてください」
凛乃の仕事ぶりを疑ってなんかいない。むしろ疑っていると思われたことが、飼い猫に指先をがりりと引っかかれたように痛かった。
「ムリは、しないほうがいい」
「だいじょうぶです、短時間ですし、稼がなきゃいけないので」
このあいだ初めて給料を手渡したときの、ホッとしたような凛乃の顔を思い出す。
そうだった。あと数か月経てば、引っ越し費用が貯まったら、凛乃はこの家を出る。
許可の返事が出せなかったのをどう取ったのか、凛乃が説得にかかる。
「もちろん、おうちの片付けはちゃんとします。手を抜いたりしません。信じてください」
凛乃の仕事ぶりを疑ってなんかいない。むしろ疑っていると思われたことが、飼い猫に指先をがりりと引っかかれたように痛かった。
「ムリは、しないほうがいい」
「だいじょうぶです、短時間ですし、稼がなきゃいけないので」
このあいだ初めて給料を手渡したときの、ホッとしたような凛乃の顔を思い出す。
そうだった。あと数か月経てば、引っ越し費用が貯まったら、凛乃はこの家を出る。