北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「お母さん亡くして知らないヤツばっかりのとこに引っ越してきて、そんなに陽気にふるまってもいられないだろうけどさ、とにかくあいつは、この世に執着してませんって感じだったよ。ばあちゃんのお葬式んときは、さすがに覚悟してたみたいで落ち着いてるかなって思ったけど、おれの引っ越し手伝ってくれたときはゾンビみたいだった。ひとりでいすぎて、ぶり返したのかなって心配で、あれこれとかまいすぎて避けられたりして」
「そうなんですか……」
凛乃は口をきゅっと引き結んだ。
「騒がしくしてしまって、申し訳ないです」
いまさら自己嫌悪が湧きあがる。
居心地がよくて鈍感になっていたけれど、あまりにたやすく雇ってくれたのを、もっといぶかしむべきだった。つらさにつけこんで、こっちはもっとつらいんだとアピールして押しかけてしまった。
カートの取っ手を握りしめると、佐助が焦ったようにフォローしてきた。
「あっ、いまはちがうよ? わかりにくいだろうけど、あいつだいぶいまふつうだよ? それなりに」
「そうなんですか……」
凛乃は口をきゅっと引き結んだ。
「騒がしくしてしまって、申し訳ないです」
いまさら自己嫌悪が湧きあがる。
居心地がよくて鈍感になっていたけれど、あまりにたやすく雇ってくれたのを、もっといぶかしむべきだった。つらさにつけこんで、こっちはもっとつらいんだとアピールして押しかけてしまった。
カートの取っ手を握りしめると、佐助が焦ったようにフォローしてきた。
「あっ、いまはちがうよ? わかりにくいだろうけど、あいつだいぶいまふつうだよ? それなりに」