北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
 もごもごと口を動かすばかりの累を、しばらく待つ。深呼吸した累は、地を這うような低音を出した。
「……家政婦さんを勧められて頼むことにしたけど、他人を家に入れることには抵抗があって、もうよその会社とかで何人か断ってて。でも、あなたなら来てもらってもいいかなって思えたから」
 聞き取りにくかったけど、ずいぶん買われているということらしい。それに気づくと凛乃は、身体ごとぐらりと傾きそうになる。
「いや、でもやっぱり、住み込みだと……」
「住み込みじゃなきゃダメですか」
 累が少しだけ顔をあげる。光が当たる部位と髪の陰に入る部位のコントラストが激しくて、肌の白さが際立つ。
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