北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
佐佑の表情が笑みへと変わっていく軌跡が、まぶしかった。凛乃はうつむくように、うなずいた。
「わたしも笑わせてみたいです」
「できると思うね! おれにはもう、なっかなか見せてくれないけどね!」
「それはきっと、瀬戸さんが笑かすんじゃなくて照れさせてばかりだからですよ」
「そっか。うん、それもいっか。でもこのあいだ久しぶりにおれのことも家に入れてくれたし、維盛さんがいればもう安心だ」
家といっても庭先だけど。
それで満足する佐佑の重心は、妻子のところにある。役目を委ねられた実感に、凛乃は少しひるんだ。
「今日の献立にも四苦八苦してるくらいだし、まったく自信ないですけど」
「そんなのだーいじょうぶだよ」
佐佑は軽く請け合った。
「あいつ食事に興味ないって言ってたから、気負うことないって」
「わたしも笑わせてみたいです」
「できると思うね! おれにはもう、なっかなか見せてくれないけどね!」
「それはきっと、瀬戸さんが笑かすんじゃなくて照れさせてばかりだからですよ」
「そっか。うん、それもいっか。でもこのあいだ久しぶりにおれのことも家に入れてくれたし、維盛さんがいればもう安心だ」
家といっても庭先だけど。
それで満足する佐佑の重心は、妻子のところにある。役目を委ねられた実感に、凛乃は少しひるんだ。
「今日の献立にも四苦八苦してるくらいだし、まったく自信ないですけど」
「そんなのだーいじょうぶだよ」
佐佑は軽く請け合った。
「あいつ食事に興味ないって言ってたから、気負うことないって」