北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「じゃあやっぱり夜のパートがいいかなあ」
「どういうこと?」
「累さんが寝てるあいだに外で働くほうがいいな、って考えてるんです」
生活がすれ違わないと、さっきみたいな危険な遭遇は増える。
ソファを出してから、そこは累の定位置になりつつあった。夕食のあとしばらくぼーっとしたり、昼過ぎから起き出して本を読んでいることがある。1階がほとんど片付いて、凛乃の主戦場が2階の魔境に移っていても、少しずつ、累を見かける時間が増えている。
「夜なら短時間でもさくっと稼げるし、昼ってだいたい時給は下がるけど仕事の選択肢は増えるし、どっちにしぼろうかと」
「給料、足りない?」
「働きには見合ってますよ。でも」
正直、足りはしない。住処がない不安からつい目先のニンジンにかじりついてしまったけど、計算が甘かったというしかない。
先日もらった2度目の給金から、各種保険料、スマートフォンの通信料、トランクルームの賃料、もろもろを差し引けば、手元に残る金額は少ない。それでものうのうと暮らしているんだから、累に養ってもらってるようなものだ。
「どういうこと?」
「累さんが寝てるあいだに外で働くほうがいいな、って考えてるんです」
生活がすれ違わないと、さっきみたいな危険な遭遇は増える。
ソファを出してから、そこは累の定位置になりつつあった。夕食のあとしばらくぼーっとしたり、昼過ぎから起き出して本を読んでいることがある。1階がほとんど片付いて、凛乃の主戦場が2階の魔境に移っていても、少しずつ、累を見かける時間が増えている。
「夜なら短時間でもさくっと稼げるし、昼ってだいたい時給は下がるけど仕事の選択肢は増えるし、どっちにしぼろうかと」
「給料、足りない?」
「働きには見合ってますよ。でも」
正直、足りはしない。住処がない不安からつい目先のニンジンにかじりついてしまったけど、計算が甘かったというしかない。
先日もらった2度目の給金から、各種保険料、スマートフォンの通信料、トランクルームの賃料、もろもろを差し引けば、手元に残る金額は少ない。それでものうのうと暮らしているんだから、累に養ってもらってるようなものだ。