北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「給料も大事ですよたしかに。でもこの場合、もっと問題なのは、身の安全、というか、ほら、なんていうか、一応まだわたしも結婚とかあきらめてないんで」
なにを言わせるんだ。今度は凛乃が目を合わせられない。
「あ」
ようやく察したらしく、累は首を振った。
「なにもしません、ぜったい」
伝わったら伝わったで、なんとなく失礼なうえに、かゆいところに手が届いてない感じがした。
小野里さんはそうでも、意識してしまう自分が疲れるのが目に見えてるんだってば。
凛乃はぐりぐりとこめかみを揉みこんだ。
「あとー、自分で言うのもなんですがー、家事能力はごく普通です。料理のレパートリーは少ないし、掃除が得意なわけでもないし、そもそも家政婦の経験ってないんです。ずっと営業事務しかやってこなかったんで」
なにを言わせるんだ。今度は凛乃が目を合わせられない。
「あ」
ようやく察したらしく、累は首を振った。
「なにもしません、ぜったい」
伝わったら伝わったで、なんとなく失礼なうえに、かゆいところに手が届いてない感じがした。
小野里さんはそうでも、意識してしまう自分が疲れるのが目に見えてるんだってば。
凛乃はぐりぐりとこめかみを揉みこんだ。
「あとー、自分で言うのもなんですがー、家事能力はごく普通です。料理のレパートリーは少ないし、掃除が得意なわけでもないし、そもそも家政婦の経験ってないんです。ずっと営業事務しかやってこなかったんで」