北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
 累はさっさと2枚めくったあと、凛乃を促す。こちらの真意を窺うようにゆっくりカードを選んだ凛乃も、ペアは作れなかった。
「夏休み、どうする?」
 ただ交互にカードを表に返しているだけの時間が進み、累は会話のとっかかりをひねり出した。
「それはお盆休み的なことですか?」
「うん」
「いつもどおり働くつもりでしたけど。しばらくひとりになりたいということでしたら、わたしリゾートバイトでも」
「そうじゃなくて」
 累はソファに放り出していたハガキをつまんで見せた。
「言造くんからバカンス自慢が来ると世間は休み始めるころだなと思って」
 一気に言ってから、「父親から」と言い直したせいか、凛乃の顔に笑みが戻った。
「ともだちみたいに呼ぶ親子なんですね」
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