北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「ばあちゃんが呼んでたのが伝染っただけ」
ちょっとだけ怒ったように言ってしまうと、凛乃はますますうれしそうに指をひらひらと揺らして、トランプを選んだ。
「お父さんはもう夏休み中なんですね」
2枚のカードを元に戻した凛乃に、ハガキを差し出す。南国の砂浜という、いかにもな写真の上を、凛乃の目が左から右に動いた。
「蒸し暑いって」
累が翻訳すると、凛乃は納得したようにうなずいてハガキを返した。
「旅行先から息子に暑中見舞出すなんて、マメなお父さんですね」
同意する代わりに、累は眼で凛乃に問いかけた。凛乃のほうも、すぐにそれを察する。
「わたしは帰省しません。お盆もここにいさせていただいていいですか」
「うん」
累はホッとした顔を隠すために、うつむきながらカードをめくった。
あのことを言うならいまだ。
「あのさ」
ちょっとだけ怒ったように言ってしまうと、凛乃はますますうれしそうに指をひらひらと揺らして、トランプを選んだ。
「お父さんはもう夏休み中なんですね」
2枚のカードを元に戻した凛乃に、ハガキを差し出す。南国の砂浜という、いかにもな写真の上を、凛乃の目が左から右に動いた。
「蒸し暑いって」
累が翻訳すると、凛乃は納得したようにうなずいてハガキを返した。
「旅行先から息子に暑中見舞出すなんて、マメなお父さんですね」
同意する代わりに、累は眼で凛乃に問いかけた。凛乃のほうも、すぐにそれを察する。
「わたしは帰省しません。お盆もここにいさせていただいていいですか」
「うん」
累はホッとした顔を隠すために、うつむきながらカードをめくった。
あのことを言うならいまだ。
「あのさ」