北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
累は、なにも言わなくなった。それを答えにして、凛乃は腰を上げる。
「紹介所のほうには、条件の再確認をお願いしておきます。きっとご希望に添えるかたが見つかりますよ。……失礼します」
動かない累の横を通るのも気が引けて、和室に足を向ける。
帰るついでに、記念にあの階段下のドアを抜けていこう。それに。
和室は、ほかの部屋に比べて格段にきれいだった。余計なものがないだけでなく、たぶんここだけはきちんと掃除して、窓や戸を開け放ってこまめに空気の入れ替えをしている。仏壇には電気式の蝋燭が灯り、香炉の灰は真新しい。
小野里さんは、おばあちゃん子だったんだろうな。とめ子さん以外の家族の話が出てこないことを考えても、なにか事情がありそうだ。
凛乃は炉に新しい線香を立てて、おりんを鳴らし、手を合わせた。
とめ子さんのお孫さんにいい家政婦さんが見つかりますように。わたしもいい仕事が見つかりますように。
「紹介所のほうには、条件の再確認をお願いしておきます。きっとご希望に添えるかたが見つかりますよ。……失礼します」
動かない累の横を通るのも気が引けて、和室に足を向ける。
帰るついでに、記念にあの階段下のドアを抜けていこう。それに。
和室は、ほかの部屋に比べて格段にきれいだった。余計なものがないだけでなく、たぶんここだけはきちんと掃除して、窓や戸を開け放ってこまめに空気の入れ替えをしている。仏壇には電気式の蝋燭が灯り、香炉の灰は真新しい。
小野里さんは、おばあちゃん子だったんだろうな。とめ子さん以外の家族の話が出てこないことを考えても、なにか事情がありそうだ。
凛乃は炉に新しい線香を立てて、おりんを鳴らし、手を合わせた。
とめ子さんのお孫さんにいい家政婦さんが見つかりますように。わたしもいい仕事が見つかりますように。