北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
入念な下準備の成果が累のクレジットカードを安堵させるのを見届けた凛乃は、裾上げにかかる30分の使いかたを累に列挙した。
「本屋は3階にありましたよ。マッサージ屋さんも。ペットショップは何階だったかな。わたしは食品街で今夜のおかず買ってきますんで」
そう言いながらも、凛乃は吊るしのスーツに目移りしてなかなか店を出ない。
「買い忘れたもの、ある?」
スーツの吟味に熱中しすぎて牛歩の凛乃の背後に、つかず離れず、ついていく。
「今回はないです。けど、冬のコートは、ちゃんとあります?」
「ふつうのダッフルだけど」
「どんなのか怖いなー。まさかとは思いますが、学生のときに買ったものですか」
「うん」
「あー。そう来ました。リーマンのダッフル、わたし的にはまったくアリなんですけど、むしろ隙があって好きなんですけど、短くても十年物ってことですよね。心配だな。帰ったら見せてくださいね!」
「はい」
「本屋は3階にありましたよ。マッサージ屋さんも。ペットショップは何階だったかな。わたしは食品街で今夜のおかず買ってきますんで」
そう言いながらも、凛乃は吊るしのスーツに目移りしてなかなか店を出ない。
「買い忘れたもの、ある?」
スーツの吟味に熱中しすぎて牛歩の凛乃の背後に、つかず離れず、ついていく。
「今回はないです。けど、冬のコートは、ちゃんとあります?」
「ふつうのダッフルだけど」
「どんなのか怖いなー。まさかとは思いますが、学生のときに買ったものですか」
「うん」
「あー。そう来ました。リーマンのダッフル、わたし的にはまったくアリなんですけど、むしろ隙があって好きなんですけど、短くても十年物ってことですよね。心配だな。帰ったら見せてくださいね!」
「はい」