北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
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凛乃は駅舎の軒下から滴る雨粒を見上げた。
真っ暗闇を背景に、照明に反射した雨がまるで季節外れの雪みたいに大粒に見える。そのせいか、スーツのジャケットまで着込んでいるのに、少しだけ肌寒い。
雨宿りを理由に遅くまで街をふらついてみたけど、マンガ喫茶を出ると、雨脚がよけいに強くなっていた。
小野里邸の最寄駅までは、電車や屋根づたいに濡れずに済んだ。ここからは雨ざらしだけれど、いまさらビニール傘を買う気もお金も出したくない。
溜息を吐きだしたのに、その分だけ身体が重くなった。
面接の場で告げられた不採用が、いままでにないほど、しんどい。小野里邸に帰りたくない。
終電をあえて逃す大胆さがないなら、友達のところに押しかける選択肢もあった。でも地味なスーツと華のかけらもない黒パンプスのセットからは、就活の香りがプンプンする。その状況もいま住んでいるところの説明も、好奇や憐憫の目を受けずには語れない。
そう。わたしはいまのわたしを恥じてる。
家政婦の面接をしたころのような、泣きたい気持ちが蘇る。
凛乃は駅舎の軒下から滴る雨粒を見上げた。
真っ暗闇を背景に、照明に反射した雨がまるで季節外れの雪みたいに大粒に見える。そのせいか、スーツのジャケットまで着込んでいるのに、少しだけ肌寒い。
雨宿りを理由に遅くまで街をふらついてみたけど、マンガ喫茶を出ると、雨脚がよけいに強くなっていた。
小野里邸の最寄駅までは、電車や屋根づたいに濡れずに済んだ。ここからは雨ざらしだけれど、いまさらビニール傘を買う気もお金も出したくない。
溜息を吐きだしたのに、その分だけ身体が重くなった。
面接の場で告げられた不採用が、いままでにないほど、しんどい。小野里邸に帰りたくない。
終電をあえて逃す大胆さがないなら、友達のところに押しかける選択肢もあった。でも地味なスーツと華のかけらもない黒パンプスのセットからは、就活の香りがプンプンする。その状況もいま住んでいるところの説明も、好奇や憐憫の目を受けずには語れない。
そう。わたしはいまのわたしを恥じてる。
家政婦の面接をしたころのような、泣きたい気持ちが蘇る。