北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
 累は1秒、間をおいて答える。
「コンビニ行ってきた」
 ひとりで行くのに、傘は2本要らない。累は傘以外、なにも手にしてない。
 迎えに来たって、どうして素直に言わないんだろう。素直にありがとうって、言えないじゃない。
 累は凛乃の手元に目を落とした。
「その荷物は?」
「就活バッグです」
「もうひとつのほう」
「トランクルームから、テーブルライトになるサンドタイマーとってきました。眠るまえに眺めると、いい感じにとろんとできるんで」
「砂時計? そんな大きいのが」
「30分ものですから。でもさっきぶつけて割れたっぽくて、ゴミになりましたけど。あーあ、服でも巻きつけて持ってくればよかったですねガラスなんだから。アタマ悪ぅ」
 凛乃の蓮っ葉な言い方に眉をひそめてから、累が手を伸ばす。
「貸して」
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