北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
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タオルケットにくるまっていた累は、アラームで起こされるまえに、寝返りがてら起き上がった。ゆうべは帰ってすぐベッドに入ったものの、深くは眠れなかった。
ずぶぬれになった凛乃はだいぶ長いあいだ、シャワーを浴びていたようだ。
なにかが過剰な凛乃の様子が、頭から離れなかった。自分の言葉が届いてないことも、ひっかき傷のようにヒリヒリ痛んだ。
リビングに下りていって、違和感はもっと強くなる。いつも朝食を作って待っている凛乃の姿がない。ゴミ出しや洗濯で一時的にどこかに行っているような様子もない。エアコンが働いていないキッチンもリビングも蒸し暑く、コンロは冷めきっている。
それがつい先ごろまでは日常だったことを、ふと思い出す。朝なのか昼なのか夜なのか関係なく、だれもいなかった。
累は奥歯を噛みしめた。
凛乃は寝坊してるだけだ。ゆうべ、あんなふうだったから。
それでも、納戸へ向かう足は心を急かそうとする。
タオルケットにくるまっていた累は、アラームで起こされるまえに、寝返りがてら起き上がった。ゆうべは帰ってすぐベッドに入ったものの、深くは眠れなかった。
ずぶぬれになった凛乃はだいぶ長いあいだ、シャワーを浴びていたようだ。
なにかが過剰な凛乃の様子が、頭から離れなかった。自分の言葉が届いてないことも、ひっかき傷のようにヒリヒリ痛んだ。
リビングに下りていって、違和感はもっと強くなる。いつも朝食を作って待っている凛乃の姿がない。ゴミ出しや洗濯で一時的にどこかに行っているような様子もない。エアコンが働いていないキッチンもリビングも蒸し暑く、コンロは冷めきっている。
それがつい先ごろまでは日常だったことを、ふと思い出す。朝なのか昼なのか夜なのか関係なく、だれもいなかった。
累は奥歯を噛みしめた。
凛乃は寝坊してるだけだ。ゆうべ、あんなふうだったから。
それでも、納戸へ向かう足は心を急かそうとする。