北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
うしろから抱きとめられて、顔面から地面に激突するのは避けられた。でも耳もとで聞こえる焦った息遣いに、身体がすくんだ。
「ごめん」
引き起こされると同時に、腰と胸のまえにまわされていた腕がほどけた。背中に密着していた大きな気配が離れる。
ふりむいて確認して、凛乃は目をみはった。
さっきの大声、このひと!?
思わず、累のぼさぼさ頭からカカトが入りきってない健康サンダルまで、べっとりと凝視する。
「びっくりさせてごめん」
累はもう一度あやまった。
そのとき互いの視線が、やっとまともにつながった。
凛乃の胸がどくんと波打つ。
その瞳は、虹彩の明度が高くて、ほとんどハチミツ色だった。きれいな切れ長なのに伏し目がちで眩しさをこらえるかのような半眼の奥で、とろりと熱を帯びた光を発しているようだ。
なぜだか少し、ぞくっとして、凛乃はその視線から逃げた。
「ごめん」
引き起こされると同時に、腰と胸のまえにまわされていた腕がほどけた。背中に密着していた大きな気配が離れる。
ふりむいて確認して、凛乃は目をみはった。
さっきの大声、このひと!?
思わず、累のぼさぼさ頭からカカトが入りきってない健康サンダルまで、べっとりと凝視する。
「びっくりさせてごめん」
累はもう一度あやまった。
そのとき互いの視線が、やっとまともにつながった。
凛乃の胸がどくんと波打つ。
その瞳は、虹彩の明度が高くて、ほとんどハチミツ色だった。きれいな切れ長なのに伏し目がちで眩しさをこらえるかのような半眼の奥で、とろりと熱を帯びた光を発しているようだ。
なぜだか少し、ぞくっとして、凛乃はその視線から逃げた。