北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
凛乃の呼吸は溜息をつくように重いものの、危機感を感じるほどではない。涼しい部屋に替えたことで、眠るにしてもラクになるはずだ。
累は部屋のドアが閉まりきっていなかったことに気づいて、足音を忍ばせてドアに歩み寄った。
凛乃のそばを離れたくない。ここなら仕事をしながらでも、凛乃の様子を見守っていられるし、咳払いひとつでも聞こえればすぐ駆けよれる。気がかりなせいか、空腹も感じない。
ベッドの横に戻ると、凛乃の顔はまっすぐ天井を向いていた。手足を投げ出すように伸ばして、冷気にさらしている。ドアを閉めた音を、累が出て行ったと思って気を抜いたのかもしれない。
累がそっとベッドに腰かけても、凛乃は目を開けなかった。でもまぶたがピクリと動いて、眠りと覚醒のはざまで、葛藤しているようでもあった。
薄く開いた口唇が乾いている。気が付くと累は、それを指先で確かめていた。ハッとして離した指に噛みつくように一度は閉じた口唇が、なにごとかをつぶやくようにうごめいた。
さっき飲んだぶんくらいじゃ、足りてないはず。
累はペットボトルを取り一気にあおってから、音もたてず、凛乃の顔の両側に肘をついた。
累は部屋のドアが閉まりきっていなかったことに気づいて、足音を忍ばせてドアに歩み寄った。
凛乃のそばを離れたくない。ここなら仕事をしながらでも、凛乃の様子を見守っていられるし、咳払いひとつでも聞こえればすぐ駆けよれる。気がかりなせいか、空腹も感じない。
ベッドの横に戻ると、凛乃の顔はまっすぐ天井を向いていた。手足を投げ出すように伸ばして、冷気にさらしている。ドアを閉めた音を、累が出て行ったと思って気を抜いたのかもしれない。
累がそっとベッドに腰かけても、凛乃は目を開けなかった。でもまぶたがピクリと動いて、眠りと覚醒のはざまで、葛藤しているようでもあった。
薄く開いた口唇が乾いている。気が付くと累は、それを指先で確かめていた。ハッとして離した指に噛みつくように一度は閉じた口唇が、なにごとかをつぶやくようにうごめいた。
さっき飲んだぶんくらいじゃ、足りてないはず。
累はペットボトルを取り一気にあおってから、音もたてず、凛乃の顔の両側に肘をついた。