北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
◆
日中陽に炙られたアスファルトは、夜になってもまだ熱を発している。コンビニエンスストアで数分冷気にさらされた程度では、帰宅時に汗がこめかみを伝った。
累は家に入るまえに、庭を覗いた。
砂利を踏む音に反応する気配はない。猫の鳴き声なんか聞こえない。かわりに蚊の羽音を拾った気がして、早々に退散した。
洗面台で手を洗うついでに顔の汗を流し、たっぷりの冷水がからむ手で髪をかき上げる。顔を拭くタオルに大きく息を吐いてから、2階に上がった。
凛乃は目を覚ましていた。まだ寝ていると思っていたから、薄闇の中でむくりと起き上がるのを見て、ちょっと肩を揺らしてしまった。
「ノックしなくてごめん」
「いえ、累さんの部屋ですから、あたりまえです」
凛乃はベッドの端に腰かけて手先を重ね、足先をそろえた。
「ご迷惑おかけしてすみませんでした」
顔を上げた凛乃をじっくりと観察する。
日中陽に炙られたアスファルトは、夜になってもまだ熱を発している。コンビニエンスストアで数分冷気にさらされた程度では、帰宅時に汗がこめかみを伝った。
累は家に入るまえに、庭を覗いた。
砂利を踏む音に反応する気配はない。猫の鳴き声なんか聞こえない。かわりに蚊の羽音を拾った気がして、早々に退散した。
洗面台で手を洗うついでに顔の汗を流し、たっぷりの冷水がからむ手で髪をかき上げる。顔を拭くタオルに大きく息を吐いてから、2階に上がった。
凛乃は目を覚ましていた。まだ寝ていると思っていたから、薄闇の中でむくりと起き上がるのを見て、ちょっと肩を揺らしてしまった。
「ノックしなくてごめん」
「いえ、累さんの部屋ですから、あたりまえです」
凛乃はベッドの端に腰かけて手先を重ね、足先をそろえた。
「ご迷惑おかけしてすみませんでした」
顔を上げた凛乃をじっくりと観察する。