北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
凛乃は逡巡したあと、溜息ごと言った。
「わたし、明日、部屋決めてきます。これからは通いで来ます」
口を挟む隙も無く言い切られて、累は尋ねてすがった。
「どうして?」
「雇い主をソファで寝かせるわけにはいきません。累さんの仕事場で私が寝るのもおかしいし」
「じゃあ隣の部屋のベッドにマットレスを戻せばいい。まえよりは使えるスペースがあるし、エアコンがある」
「これ以上、累さんに負担を強いたくないんです。それに」
凛乃は息を継いだ。
「ああいうのは、よくないです」
「ああいうの?」
聞き返したけどわかっていた。熱とは別の高揚が、凛乃の口を固く閉じさせる。それをこじ開けるように「口移ししたこと?」
凛乃は答えなかったけれど、それが決定的だ。凛乃は覚えていて、それを拒否した。
「わたし、明日、部屋決めてきます。これからは通いで来ます」
口を挟む隙も無く言い切られて、累は尋ねてすがった。
「どうして?」
「雇い主をソファで寝かせるわけにはいきません。累さんの仕事場で私が寝るのもおかしいし」
「じゃあ隣の部屋のベッドにマットレスを戻せばいい。まえよりは使えるスペースがあるし、エアコンがある」
「これ以上、累さんに負担を強いたくないんです。それに」
凛乃は息を継いだ。
「ああいうのは、よくないです」
「ああいうの?」
聞き返したけどわかっていた。熱とは別の高揚が、凛乃の口を固く閉じさせる。それをこじ開けるように「口移ししたこと?」
凛乃は答えなかったけれど、それが決定的だ。凛乃は覚えていて、それを拒否した。