北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
凛乃は膝をついて、次々開けられる抽斗を覗きこむ。
「まあ、専門家でないと、ですよね。譲られるアテはないんですか?」
「ばあちゃんのきょうだいは、もういない。ひとり娘のおれの母親も20年前に。家族はあと、父親がいまのパートナーとフランス在住」
「はぁ、フランスですか。なにかご縁があるんですか? お名前も、ルイ、で」
「……母親がフランスかぶれで」
「なるほど、ぼそぼそしゃべる感じがフランス語っぽいですしね」
最上段の抽斗を開けたところで、累の手が止まる。
「すみません。短絡的でした」
笑いのセンスも悪すぎました。
凛乃は倍盛りで笑顔を作った。
「まずは鑑定してもらいましょう。足元を見ないようなお店が見つかればいいですね」
「捨てていいって言われたけど」
「孫に迷惑はかけまいってだけですよ。だいじにされてましたよ、これぜったい」
「まあ、専門家でないと、ですよね。譲られるアテはないんですか?」
「ばあちゃんのきょうだいは、もういない。ひとり娘のおれの母親も20年前に。家族はあと、父親がいまのパートナーとフランス在住」
「はぁ、フランスですか。なにかご縁があるんですか? お名前も、ルイ、で」
「……母親がフランスかぶれで」
「なるほど、ぼそぼそしゃべる感じがフランス語っぽいですしね」
最上段の抽斗を開けたところで、累の手が止まる。
「すみません。短絡的でした」
笑いのセンスも悪すぎました。
凛乃は倍盛りで笑顔を作った。
「まずは鑑定してもらいましょう。足元を見ないようなお店が見つかればいいですね」
「捨てていいって言われたけど」
「孫に迷惑はかけまいってだけですよ。だいじにされてましたよ、これぜったい」