北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「おれが買ったものじゃない。父親が手掛けてる輸入代行とかも手伝ってて、在庫とかキャンセル品とか不良品とか、送り返すのもカネかかるから、とりあえず置いといたらこうなって」
「使って放置してるわけじゃないんですね?」
「もともと部屋にあったもの以外は、使ったものはない。今後使う予定もない」
「不良品はともかく、ぜんぶゴミにするのはもったいないですね」
着物もそうだけど、宝の持ち腐れすぎる。外に持ち出してさばいたり、買取業者を招いてどうこう、という方向を避けた結果のカオスだとすれば。
「片付けというよりは、リサイクル代行ですね」
「売る?」
 思いがけなかったようで、累が聞き返す。
「ひとつひとつはたいした値がつかなくても、手間をかける時間はあります。ジャンク品だって必要とする人がいたりしますから、根気さえあれば、それなりに有効に還元することはできると思いますよ」
「じゃあその売り上げはボーナスにする」
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