北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「お節介なだけ」
 累はふてくされたように吐き捨てた。
「おれが出ていかないのわかってて、いちいちピンポンするし。そのまま取りに出るの忘れると、悲惨なことになるし」
「これからもっと暑くなりますしね、それはイヤですね。これからはわたしが出ます。ゴミ出しも」
「それはやらせとけばいい。好きでやってるんだから」
「でもそれだと、ゴミの日のたびに瀬戸さんが来ますけど」
 目を覗きこむと、累は目をそらしてドアから離れた。
「好きにして」
 凛乃は笑みが漏れるのをグーでそっと隠した。
 イヤがってるように見せてるけど、完全に切りたくもないんだな。
「でも顔合わせるとしつこいから、来てもドアホンだけで応答して。個人的なこととか聞いてきても答えなくていいから。というより、必要最低限しかしゃべらなくていい」
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