北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
凛乃のまえを横切りながら、累は説教するみたいに言葉数多くまくしたてた。
「そういうご希望ならそうしますけど」
凛乃としては佐佑が累の世話を焼きたくなる気持ちもわかるだけに、ないがしろにするのは気が引ける。
でも累は話を断ち切るように凛乃に背を向けた。
凛乃は声をあげそうになる口を、むむっと押さえこんだ。
後頭部の髪が一房、ぴよんとねじ曲がっている。
カギしっぽ猫のおしり!
一歩あるくごとに揺れる寝癖に悶絶しながら、凛乃は累のうなじに挟まったヘッドフォンに冷静さを取り戻した。仕事中だったのに、中断して助けに来てくれたと思われる。
「あの、おなか空いてませんか?」
思わず声をかけた。ふりむいた累と目が合って、ハッと我に返る。
「あ、今朝はごはん要らないんでしたよね。ごめんなさい」
誘いかけたことを後悔して、ばたばたとサンダルを脱いだ。
「そういうご希望ならそうしますけど」
凛乃としては佐佑が累の世話を焼きたくなる気持ちもわかるだけに、ないがしろにするのは気が引ける。
でも累は話を断ち切るように凛乃に背を向けた。
凛乃は声をあげそうになる口を、むむっと押さえこんだ。
後頭部の髪が一房、ぴよんとねじ曲がっている。
カギしっぽ猫のおしり!
一歩あるくごとに揺れる寝癖に悶絶しながら、凛乃は累のうなじに挟まったヘッドフォンに冷静さを取り戻した。仕事中だったのに、中断して助けに来てくれたと思われる。
「あの、おなか空いてませんか?」
思わず声をかけた。ふりむいた累と目が合って、ハッと我に返る。
「あ、今朝はごはん要らないんでしたよね。ごめんなさい」
誘いかけたことを後悔して、ばたばたとサンダルを脱いだ。