北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
凛乃が革靴を磨き終わるのを静かに待って、使いこんだブリーフケースを持ったところで、累が「カギ」とつぶやいた。
「ばあちゃんの箪笥のどこかに、ばあちゃんが持ってたカギがあるはずなんだけど」
「探しておきます」
「でも、そこにないかもしれないし……。たしか買い物に行くって、さっき」
「お帰りは、そんなに遅くならないんですよね? 帰られてから行けますから」
累は凛乃の顔を眺めたあと、ブリーフケースからキーケースを取り出した。
「ん」
凛乃にてのひらを差し出しさせて、それをぽとりと落とす。
「夕飯までには帰ると思うけど、念のため。あと、食費……」
財布を覗いた累が指先でゆっくり引き出したのは、千円札が二枚。
「これしか……」
「だいじょうぶですよ。なんなら立て替えられますし。むしろ、仕事のお付き合いで必要かもしれませんから、持っていてください」
「ばあちゃんの箪笥のどこかに、ばあちゃんが持ってたカギがあるはずなんだけど」
「探しておきます」
「でも、そこにないかもしれないし……。たしか買い物に行くって、さっき」
「お帰りは、そんなに遅くならないんですよね? 帰られてから行けますから」
累は凛乃の顔を眺めたあと、ブリーフケースからキーケースを取り出した。
「ん」
凛乃にてのひらを差し出しさせて、それをぽとりと落とす。
「夕飯までには帰ると思うけど、念のため。あと、食費……」
財布を覗いた累が指先でゆっくり引き出したのは、千円札が二枚。
「これしか……」
「だいじょうぶですよ。なんなら立て替えられますし。むしろ、仕事のお付き合いで必要かもしれませんから、持っていてください」