北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
「あいつ愛想ないし、なに考えてるかわかんないけど、根はいい奴だから。いまちょっといつも以上に生命力乏しいだけなんだよ。あいつを助けてやって。累のこと、ほんと、よろしくお願いします!」
声の揺れかたから、佐佑がドアのまえで深々と頭を下げているのが感じとれた。
「……こちらこそ、よろしくお願いします」
声をかけると、小さく「ありがとう」と聞こえてきた。ドアスコープを覗くと、帰っていく佐佑の姿が見えた。初対面で追いかけられたときには気づかなかったけど、大きな背中はラグビーかなにかやってた? という感じの頼もしさだ。
割烹着のポケットに突っこまれていたのは、佐佑の連絡先が書かれたメモ用紙だった。元気よく跳ね回る文字が、手元が暗くて読みにくい。顔を上げると、玄関ドア上の欄間から夕闇の気配が降りてきていた。
声の揺れかたから、佐佑がドアのまえで深々と頭を下げているのが感じとれた。
「……こちらこそ、よろしくお願いします」
声をかけると、小さく「ありがとう」と聞こえてきた。ドアスコープを覗くと、帰っていく佐佑の姿が見えた。初対面で追いかけられたときには気づかなかったけど、大きな背中はラグビーかなにかやってた? という感じの頼もしさだ。
割烹着のポケットに突っこまれていたのは、佐佑の連絡先が書かれたメモ用紙だった。元気よく跳ね回る文字が、手元が暗くて読みにくい。顔を上げると、玄関ドア上の欄間から夕闇の気配が降りてきていた。