北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
今度は凛乃が眉間にシワを寄せる番だ。それを見て累が言葉を足す。
「履歴書に書いてあった」
そうだった。雇い主に対して身元を証明しなければと思って、わりと屈託なく個人情報を渡していた。
凛乃は憮然として三毛猫のポケットからスマートフォンを取り出した。
「教えてください」
「メモ開けて」
言われたとおりにして、促されるまま累にスマートフォンを渡す。なにか打っている累を見ながら、ふとイジワル心が湧いた。割烹着の裾をひっぱり、目に映る面積を広げる。
「ちなみにこれも瀬戸さんにいただきました」
案の定、信じられないといった顔で累が凛乃を見る。
「奥様のおさがりだそうです。ちょうど欲しいなと思っていたので助かりました」
累の感情が表に出てくるのがなんだかおもしろくて、凛乃は声を弾ませる。ウソは言ってない。埃だらけの荷物や荷物じゃないモノを片付けるのに、着古したものとはいえ自前の服が煤けていくのを見るのはしのびなかった。
「履歴書に書いてあった」
そうだった。雇い主に対して身元を証明しなければと思って、わりと屈託なく個人情報を渡していた。
凛乃は憮然として三毛猫のポケットからスマートフォンを取り出した。
「教えてください」
「メモ開けて」
言われたとおりにして、促されるまま累にスマートフォンを渡す。なにか打っている累を見ながら、ふとイジワル心が湧いた。割烹着の裾をひっぱり、目に映る面積を広げる。
「ちなみにこれも瀬戸さんにいただきました」
案の定、信じられないといった顔で累が凛乃を見る。
「奥様のおさがりだそうです。ちょうど欲しいなと思っていたので助かりました」
累の感情が表に出てくるのがなんだかおもしろくて、凛乃は声を弾ませる。ウソは言ってない。埃だらけの荷物や荷物じゃないモノを片付けるのに、着古したものとはいえ自前の服が煤けていくのを見るのはしのびなかった。