北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅰ
 その場面を想像した凛乃は、吹き出すのを止められなかった。
「図太いんだか繊細なんだか、ですね」
「いつも堂々としてた。カミナリ見るときも、しゃんと背筋伸ばしてた。ばあちゃんの四十九日が終わって、ずっと雨がつづいた日に、そこの軒下にいて、戸を開けておいたら入ってきて」
 累が長い息を吐いた。
「歳とってたから、みんなみたいに看取るつもりだったのに、1年も居なかった」
「猫は気まぐれですから……ひょっこり戻ってくるかもしれませんよ? 猫は家につくっていいますし」
 なんとか慰めの言葉をしぼりだすと、累が凛乃をじっと見た。
「維盛さんは、つるこに似てる」
「へ?」
「維盛さんが、つるこの生まれ変わりだといいのに。それか、憑りつかれてるか」
 そうであってほしい、と聞こえた。冗談めかしていたけど、半分くらいは本気で言ってる気がする。
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