浅葱の花にとまる蝶

✿✿✿✿

「やー、やっと放課後!部活!剣道!」

「はいはい、うるさいよ剣道馬鹿」

やっと放課後です。

これから部活だよ!!

(はぁ〜、朝はお説教であんまり身体動かせなかったから楽しみだな〜)

梨香と二人で他愛ない話をしながら武道館に向かう。

剣道場は老朽化が進んで工事中なのだ。

完成まであと1ヶ月と言った所で、今は鉄骨みたいなのをおじさん達がせっせと運んでいる。

「剣道場早く出来ないかな〜」

「あと1ヶ月よ?辛抱しなさい」

ぶぅと不貞腐れて竹刀を振り回しながら歩いていた時、おじさんの「危ない!!!!」と言う叫び声と周りにいた子の「「「「梨香!!」」」」という声が聞こえたのは同時だった。

(え、なに…)

上を見上げるとさっきおじさん達が一生懸命運んでた鉄骨が三本、束になって落ちてくるところだった。

私が竹刀を振り回していたので梨香は少し離れた先を歩いていた。

鉄骨が梨香に迫るが梨香は気が動転しているのか見上げたまま動かない。

(っ梨香!!!!!!)

間に合え!!!!

無駄に良い反射神経を最大限発揮して梨香の元へ駆ける。

(届く!!!!)

ドンッと力いっぱい梨香の背中を押したところで力尽きた。

(あ、だめだこれ。死んじゃう。)

(でも、梨香は無事だったしそれだけで良いや。)

「蝶おおおおおお!!!!!!!!!!」と泣き叫ぶ梨香の声が聞こえる。

泣かないで、大丈夫だよ。

梨香が無事でよかった。そう伝えたいけどもう声は出ないらしい。

ガラガラガラ!!!!という音と背中に受けた強烈な痛みで視界はブラックアウトした。
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