悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています

「君はすごいな。俺にはできなかったことをどんどん進めていってしまう」

「私だって手探りよ。みんなの協力がなきゃ、こんなに順調にはいかないわ」

 看護師の仕事もそうだった。お互いをフォローしあって、なんとか病棟運営ができる状態だった。

「ここの人たちははぐれ者ばかりだと聞いて心配してたけど、そんなに悪い人たちじゃないわね」

「まあな……事情があったり、単に無教養で就職できなかったり、色々だが、根からの悪人はいないと信じている」

 話をしているふたりの周りをぶうぶうと豚が取り巻く。うるさい鳴き声に、集中が途切れた。

「城に戻ろう」

「ええ」

 ルークがアリスの手を取る。

 いつの間にかふたりは、自然に手を繋ぐようになっていた。

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