悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています
眩しそうに手で顔を覆ったのは、ジョシュアだった。彼は酒樽の傍にいた。
酒樽も食糧庫も、勝手に荒らされないように鍵がかけてある。特に酒樽は厳重に鎖を巻きつけ、簡単に栓が抜けないようになっていた。
「叔父上……」
ルークが手を下ろすと、ジョシュアはまたゴソゴソと動き始めた。アリスたちに見つかったことなど、気にしていないように。
「くそっ、なんだこれは……おいお前、どうせなら俺の手元を照らしてくれ」
二人はゆっくりと彼に近づく。ルークの弱い光で照らされた彼の手はブルブルと震え、とても鎖をほどくことはできそうにない。
「酒……酒を持っていないか」
諦めたジョシュアは、ルークに手を伸ばした。求められたものを持っていないルークは、首を横に振る。
「ムリよ。鍵がないと、この鎖は解けないようになっているの」
「ううっ……くそ、この小娘が! か、か、鍵を出せ!」
呂律も回らなくなったジョシュアが、黄ばんだ目でアリスを睨み、襲いかかろうとする。
「やめろ!」
横からルークがジョシュアの体を抱きしめるようにして踏ん張る。