ライオン王子に飼われたネコさん。
真白は深くため息をついた。

タクシーを使って先に帰るのも一つの手だが、連れて来てもらった以上は待ちたい。

それに酔っ払い(レイチェル)を回収する必要もあるだろう。

ここなら従業員の目もあることだし、危険な目には遭いにくい筈だ。

「案内してくれてありがとう。あなたはパーティーに戻ってね。きっとみんな待ってると思う」

「一人じゃ危ないよ。一緒にいる」

「ねぇ、危ないって?レイチェルもそんなことを言ってたけどなんなの?」

マイケルは言いにくそうに口籠り、耳を貸すようにと手を動かした。

ほんの少しだけ、彼の方に体を寄せると耳元で「ヤリ部屋があるんだよ」と囁かれた。

バッと彼から離れ、スツールから急いで降りようとすると手を掴まれて引き戻される。

「ちょっ、誤解しないでよ!そういう場所があるんだってこと!……さっきから君がナンパされてるのも大方そういうことだと思う」

「……ごめん」

大人しくスツールに座り直した。

(なるほどねー!!)


海外ドラマとか、日本でもお金持ちの享楽的な感じで漫画とかでよく出てくるそういうアレか!

妙に納得してしまうのと、ただでさえ遠い世界だったものが更に遠く感じられた。

「色々と解放的になっちゃうんだろうね。空いた部屋の殆どがそんな感じだよ」

「……へー」

真白の貞操観念からは程遠い世界だ。

しかし、そうなると。

「レイチェルが危ないじゃない!」

「いやー、レイチェルは酔ったら手がつけられなくなるからあの子に手を出そうとするのは相当な猛者だよ。断言してもいい。部屋に連れ込もうとする勇気がある奴なんていない」

「そんなの信じられると思う?」

「……男並みに鍛えられた女性と、か弱そうな女性ならどっちを選ぶ?」

「………」


それ以上は何も言えなかった。
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