ライオン王子に飼われたネコさん。
「へぇ。お取り込み中って分かってるんだな?」

カーテンを少しだけ開け、現れた男にマイケルは息を呑んだ。

マイケルのブロンドの髪より遥かに煌めくブロンドの髪を持つその男を知らない筈がなかった。

親の命令で日本の大学を中退し、その後、アメリカの大学に入り直し、飛び級で来年春に同じく卒業予定だと最近何かと有名な日本人だったからだ。

実際に近くで見たのは初めてで、本当に同じ大学に通っているのかさえ疑っていたくらいだったが、実在していた。

ただでさえ人を魅了する容姿なのに濡れた唇が更に男の色気を凄絶なものにしていて、男だと分かっていてもその美しさに見惚れてしまう。

だが、美しいものは同時に恐ろしくもある。

無表情で、冷酷で獰猛なアンバーがマイケルを見据える体が一気に震えた。

目の前にいるのは強者で、自分は弱者。
立ち向かうのは命を捨てることだった。


「邪魔だから、失せろ」


マイケルは慌てて走り去った。


遠くなっていく足音にホッとしていると、アンバーの瞳が真白を見下ろしていた。

冷静になって自分の姿を想像する。

大きく開かれた足に捲れたスカート、髪はボサボサで化粧も泣いてドロドロ。

(最悪の状況すぎる…!!おまけに、私、私!!)

ポロリと涙が溢れる。

安堵やらショックやらいろんな思いが混じった涙だった。

「また泣くのかよ」

深いため息が聞こえてイラッとする。

大部分はマイケルのせいだが、残りは間違いなくこの男のせいで泣いているというのに酷い言い様だ。
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