ライオン王子に飼われたネコさん。
顔を覆っていた手を片方外され、手を引かれる。

今日はやたら手を引かれる日だと半ば怒りながらそんなことを思っていると、なぜか抱きしめられた。

日本の女子にしては高身長で、出窓によって更に視線は高くなっているはずなのに男の胸にすっぽりと収まっている。

それだけこの男の背が高く、体格もいいということだった。

暖かく、力強く、そして甘くていい匂いに包まれて心臓が早鐘のように打って、さっきよりもずっと息ができなくなる。

「なんか香水つけてる?」

「……付けてないです」

「ふーん」

肩に顎を乗せられて、今日何度目かの恐慌状態に陥りそうになった。

(おおおおお落ち着け、落ち着け!!)

「落ち着いたか?」

「落ち着けるか!!」

即座にツッコミを入れて後悔していると、男が顎を乗せている方の肩が小刻みに震えた。

クックッと堪えるように笑っている。

それが無性に腹立たしい。

「何が面白いのか知りませんが、こっちは散々なんですよ!!連れとはぐれるわ、知り合いには襲われるわ、おまけに、見知らぬ男にファ、ファーストキスを奪われるわ!!」

ぴたりと揺れが止まり、「見知らぬ男って?」と冷ややかにアンバーの瞳が真白を覗き込んだ。

目の前の美しい男に抱きしめられ、見つめられている状況が、これまでの緊張の限界を突破させたのか、怖いもの知らずのように目の前の男に怒りをぶつける。

「あなた以外に誰がいらっしゃいます!?」

「は?俺の事知らないの?日本人のくせに?」

だが、男は圧倒的強者であり、真白など屁でもない。

「日本人があんたみたいな外国人を誰でも知ってると思うな!!」

(………って、あれ?)

そこで、いつの間にかお互いに日本語で話していることに気づいた。

ブロンドの髪、アンバーの瞳、彫りのある顔立ち、高身長で体格もいい。

日本人離れしている男だが日本語は流暢で、イントネーションも日本人のものと相違ない。

それどころか、日本人そのものだ。
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