ライオン王子に飼われたネコさん。
「祖父がドイツ人だらな。クォーターってやつだけど、一応日本人なんだが?」

「……それは、失礼しました」

人を見た目だけで判断するのはよそうと決めた。

いくら外国の地で見た目が日本人とかけ離れていたとしても、決めつけるのは良くなかった。

そんな真白の反応は男を驚かせた。

「本当に知らないんだな」

何のことか分からず真白は首を傾げた。

「いや、別に」

男は真白から体を離すと、隣に腰掛けた。逆に降りようとすると腰を掴まれ、身動きを取れなくされる。

「まだアイツがいるかもしれないだろう?」

そう言われると抵抗もできない。どちらも危険だが、目の前の男の方が幾分かはマシだと思えた。

(そういえば、この人こそ見ず知らずの人なのに嫌じゃなかったな。)

知っている人でさえ嫌だった。
見ず知らずの人なんて冗談じゃない。
だからダンスを断った。

そのせいでレイチェルを見失ってこんな目にあっているのに。

(……結局、私も顔が良ければいいってこと?)

ミーハー気質でもイケメン至上主義でもない筈だったが、理由を考えれば考えるほどそれ以外に思いつかない。

そんな自分に落胆した。


けれど、マイケルと男との違いを考えた時に男からは嫌な視線が一つもなく、本当に襲うつもりは微塵もなかったことが窺える。

キスはそれらしい雰囲気を作ってマイケルを追い払う手段の一つで、ドレスを捲ったのは真白と認識させないためだった。

助けを求めたのは真白の方で、その手段は男に全て委ねたのだから文句も言えない。
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